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コプラ彗星のダストトレイルを可視光(写真)で初めて捉えた
すい星の「ちりの輪」、撮影に成功

5月22日の東京新聞の夕刊に東大天文学教育研究センター木曽観測所のシュミット(105cm)でコプラ彗星(周期6・4年)のチューブ状に伸びたダストトレイル(ちりの雲)を可視光で初めて捉えたそうです。写真も掲載されています。ダストトレイルは、幅18000〜40000Km。長さ230万kmだそうです。コプフ彗星の他にも、ポン・ウィンネッケ彗星や、ガン彗星のトレイルの観測に成功しているそうです。天文ガイド5月号の天体写真コーナーに掲載されている65P/Gunn彗星のテールは、実は、ダストトレイルだったのだそうです。アマチュアクラスの望遠鏡でも観測できるそうです。挑戦してみてはいかがでしょうか。
その他の情報として、ちりの直径は、1センチ程度。すい星の核は氷とちりでできている。ダストトレイルは、すい星が太陽に接近した際に、揮発性の物質が放出され、軌道に沿ってドーナツ状に残るためにできる。粒子が細かく、広い範囲に散乱して光をよく反射するすい星の尾は、肉眼で見ることができるが、ダストトレイルは粒子が大きくあまり拡散しないため、光を反射しにくく、赤外線天文衛星以外では観測することができなかった。ダストトレイルを地球が横切ると流星群が出現する。コプフすい星と地球の軌道は交わらないが、もしも地球が横切れば、毎秒数千個の流星が出現する規模だという。

  池谷・張彗星の最新画像1  池谷・張彗星(天平の森天文同好会)の画像へ
池谷・張彗星の尾がちぎれた画像 最新画像2
 画像3
 マウナケアでの画像 スペクトル解析図1 スペクトル解析図2

池谷・張彗星は、5月3日現在、2時頃で、4〜5等級程度で、眼視では、やっと見えました。双眼鏡では、よくみえます。
[異常増光]したとの情報が入りました。このまま行くとマイナス等級になるの?尾の長さも30度を超え、百武を凌ぐのではないかと・・長谷川氏によると、野辺山の観測でIkeya-Zhang彗星の中心および太陽方向、反太陽方向、およびそれと直交する方向の5点の観測をしたそうです。観測結果からは中心にはHCNのラインが見られ、また直交する方向でほぼ西側、反太陽方向にHCNが弱いながらも見られました。太陽方向は微妙で、東側はほとんど見られなかったそうです。 IAUCに太陽側にジェットがあったという報告があるそうです。今回の観測だと太陽側が強くないのでジェットとの相関はなさそうなのですが、同時期の可視の観測がないのでまだ確認できていないそうです。田中氏の画像より、3月20日からイオンテイルがはっきりと見え始め、23日には活発化しているのが、よく分かります。野辺山で観測している長谷川氏によると、積分したスペクトルを見ると、HCN (1-0) がそれらしくなってきましたが、まだ 1-Kawakita ぐらいでなんとも言えないそうです。ノイズレベルは、17mK です。P/Halley の時のHCNラインのピークは、150-200mKもあったそうです。また、砂田氏が解析したところ、CO(1-0)輝線が 2σ程度で受かっていたそうです。宇宙研の阿部氏によると池谷-張彗星の位置(r=0.875AU, D=1.38AU、黄経=3d51', 黄緯=-12d29')から、シュミットの合成視野に写っているプラズマテイルの実長は約500万kmで、テイルの後方に見えるコンデンセーションは、約20万kmの空間スケールを持つプラズマ塊のようです。よく見ると、これらのプラズマ塊は、ヘリカルな構造を持っているように見えます。核に近いプラズマテイルは、windsockモデルに従って広がっているようなので、約12度(反太陽方向から6度)に広がったテイルから、彗星核の速度 〜45km/sと軌道運動方向を考慮すると、秒速〜400kmの太陽風速度が計算されます。核から150万kmより遠い所では、プラズマのdrape構造が崩れて、ヘリカルな構造が見えていることから、ここで大きくプラズマが乱される磁場構造、あるいは、太陽風が急激に遅くなるような流速の変化があるのではないかと思います。以下、参考までに太陽風の計算を行ってみました(暫定)。この計算から推測される太陽風速度は、秒速600kmで、windsockモデルはそれよりもかなり低い値となります。実はこの傾向は、他の彗星でも同様に見られ、未だによく分かっていません。(太陽風速度の不確定性もあるので)彗星のプラズマテイルは単純に彗星核と太陽風との相対速度で形成されるものではなく、何らかの加速機構(惑星間空間磁場によってテイル中に電流が発生し、J x B 力によって加速される)が働いている可能性があります。太陽光球面の磁場データを用いて、惑星間空間の(1AU付近)太陽風速度の計算結果へ磁気中性面のデータはまだ出ていなかったのでプロットしていませんが、おおよそ低速太陽風(赤領域)に沿っているものと思われます。この図からは、彗星は秒速600kmの高速太陽風領域にいたと思われます。また、当時の太陽フレアの情報を調べると、2月10日にMクラスフレアが発生している以外は、惑星間空間は静穏状態であるとのことです。

東の空の明け方に見えるリニア彗星(C2000WM1)